【映画】重厚なサスペンスの序章。登場人物たちの内面が深く描写されている『64-ロクヨン-(前編)』

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久しぶりに映画レビューです。邦画観てきました。

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前編・後編にわかれた濃厚な警察組織の物語『64-ロクヨン-(前編)』です。
はじめて、前編・後編にわかれた映画を映画館で観に行きました。

単純に物語をぶつ切りして前編、後編とおもいきや、しっかり前編と後編で話の持っていきかたやテーマが違うんですね。
まだ前編しか観ていませんが、前編は事件をテーマにするというよりは、事件を舞台道具にして、人間関係や組織の争い、登場人物の心情を描いています。

最後に後編の予告が流れましたが、新たな64事件が発生するということみたいですので、今度は前編である程度登場人物たちの心情がはっきりしたので、そこから事件解決へ動いていくという展開な気がします。

横山秀夫が原作だそうです。

あらすじ



わずか1週間の昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件・通称「ロクヨン」。事件は未解決のまま14年の時が流れ、平成14年、時効が目前に迫っていた。
かつて刑事部の刑事としてロクヨンの捜査にもあたった三上義信は、現在は警務部の広報官として働き、記者クラブとの確執や、刑事部と警務部の対立などに神経をすり減らす日々を送っていた。
そんなある日、ロクヨンを模したかのような新たな誘拐事件が発生する。(映画.comより)


オープニングパートは邦画としてはかなりクオリティが高いと思いました。
僕は洋画至上主義者だったりしないし、むしろ邦画好きなのですが、やはり予算の都合やPRの都合上、駄作な邦画が量産されている現状はあると思います。

しかし『64-ロクヨン-』は良作な邦画と自信をもってオススメできます。

話を戻しますが、オープニングパートでは64事件の全貌なのですが、僕は映像がとってもいいと思いました。
佐藤浩市さんの演技ももちろん素晴らしいです。
日常から事件が発生し、タイトルという流れが、演技、構成、映像とすべてがいい形で組み合わさっていました。
事件現場をドローンで空撮し、タイトルが表示されるところは音楽も相まってテンションがあがりましたね。

今後事件がどうなっていくかという興奮もあり、エンターテイメントとしてもかなりのものです。
刑事物、警察物なので、重々しい雰囲気が続くと思っていましたが、展開がかなりわかりやすいのと、心情描写がはっきりしているので、ヒューマンドラマが苦手な人でも楽しめると思います。

オープニングパートのあとは、時代が飛び、時効寸前の平成14年になります。
佐藤浩市は刑事部から広報官へ左遷されていて、記者クラブとの諍いなどに奮闘する日々。
少しずつ彼のパーソナリティが明かされつつ、64事件当日の隠蔽が明らかになっていきます。

なので、64事件自体を解決していくというよりは、それに関わった者たちのヒューマンドラマがメインですね。
おそらく事件自体を解決していくのは後編ということでしょう。
この方式はなかなかいいと思います。前編でしっかり佐藤浩市をはじめとする登場人物に感情移入して、後編で一気に事件解決。
なかなかのカタルシスがありそうですね。

去年観た、『天空の蜂』も同じ効果がありましたが、それを前編・後編にわけているので、さらに深みが増しますね。

佐藤浩市演じる、三上の多面性


人間はパーソナリティを使い分けて生活していますが、映画をはじめとする物語ではなかなか登場人物の内面の多面性はわかりにくところがありますよね。ヒーローと普段の生活のような二面性はありがちですが、人間関係での多面性はなかなか描写しにくいし、されていない気がします。

しかしこの作品では主人公の三上のパーソナリティにぐっと踏み込んでいっています。
最初は組織の中の、刑事として、広報官としての三上が中心に描かれますので、堅物だったり、融通が利かない、組織の人間だなという印象が深いのですが、次第に64事件を追いはじめると、彼の正義が見えてきます。
彼なりの警察官像がわかってくるのです。反面、家庭内では娘といざこざがあり、娘は今家出をして、音信不通、生きているかもわからないという状況があるなど、刑事としての正義の二面性なんかもあったりするのです。

印象深いシーンでは、娘とのいざこざが映し出されるシーンですが、娘がいきなり整形をしたいといい、理由は父・三上の刑事の顔が自分に遺伝しているのが嫌だという理由です。三上は激昂するのですが、娘が「刑事の目で見ないで!」といい、顔をかきむしります。
このシーンは衝撃的でしたね。父親なので、もちろん娘を愛しているでしょうし、彼なりの正義で刑事をやり、家庭を守ってきたので、娘にそんなことを言われれば激昂します。しかし、娘は刑事である父を否定するのです。
家庭ではうまくいかない、三上の弱いところが映し出されてグッとくるものがありました。

そんな三上を支える妻の存在もあります。
娘が家出をして心身を磨耗しながらも、けなげに三上を支える妻の存在は三上にとって、かけがえのないものなんでしょう。
そんな妻が、毎日磨いている靴を上司が「君の靴はそんなに汚れているんだね。」というシーンは観ている側からも怒りを感じました。

他にも対立する記者クラブだったり、当時の科学捜査官だったりと複雑な関係と心情が丁寧に描かれるので、ヒューマンドラマとしては最高な出来ではないでしょうか。

実力派俳優たちの演技がすごい!


ポスターを見ていただければ、わかると思いますが、本当に素晴らしい俳優さん女優さんが登場しています。
前編はとくにアクションや事件に動きがあるわけではないので、演技力の凄さをひしひしと感じました。

特に、広報官の三上と、記者クラブが前編の最後のほうで対立し、和解していくシーンはさすがです。
佐藤浩市の熱が入った、セリフまわしもいいのですが、個人的には、記者クラブの実質的リーダーであった、瑛太が演じる秋山が無言で涙を浮かべるシーンは本当に感動しました。

詳しくは語りませんが、今まで必要以上に反発してきた秋山が、三上の広報官として、警察官としてではなく、一人の男として語るものに、涙を浮かべるのは、彼の報道というものに対しての美学に響くものがあったんじゃないかなと想像してしまいますよね。

物語のクライマックスです。
そしてここから、記者クラブと共同して、64事件を解決に向けてがんばっていこうとした矢先に、新たな64事件が起きるのです。
そこで前編は終了。後編が気になりますね!

まとめ


ヒューマンドラマとしても、サスペンスとしても素晴らしい出来だと思います。
いろいろな捉え方ができる作品だと思いますので、邦画が苦手な方もぜひ観てみるといいと思います。




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