【映画】伊坂幸太郎原作、それぞれの伏線が今つながる群像劇「グラスホッパー」

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最近は小説を読むことは少なくなりましたが、中高生時代に好きだった伊坂幸太郎さんの「グラスホッパー」が映画化されましたので、鑑賞しにいってきました。

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「鈴木」という恋人を仕組まれた事故で失った平凡な人間が、知らず知らずのうちに闇社会の思惑に翻弄されるストーリーです。

伊坂幸太郎さんの作品は伏線が綺麗にはられ、綺麗に回収されるにが特徴ですよね。
そういった特徴が今までの伊坂作品の映画化ではわりと再現されていましたが、この「グラスホッパー」は登場人物がたくさん出てくるのと場面転換が多いのでどう転ぶか楽しみでした。

あらすじ


ハロウィンの夜、事件は渋谷のスクランブル交差点で起きた──。
愛する女性をその事件で失った元教師【鈴木】は、殺された恋人の復讐のため裏組織に潜入し“その時”を窺っていた。
一方、別の目的でその事件と関わる2人の殺し屋がいた。
ひとりは人の心を狂わせる眼力を持つ“自殺屋”と呼ばれる自殺専門の殺し屋【鯨】。もうひとりは人を殺すことで生を感じる、孤独な若きナイフ使い【蝉】。
接点のなかった3人の男たちが引き寄せられ1つに繋がったとき、それぞれが抱える闇の出口が見えてくる。


感想


あらすじにも書いてありますが、ハロウィンの夜という時事ネタにからませていますね。
これは映画という非日常の中に日常感を出して、この物語の世界にリアルさを醸し出している演出なのでしょうか、とても作品の中に引き込まれました。
うまい導入だったと思います。

原作にあった、日付や人物名が押印のデザインになっていたのも、うまく再現されていましたね。

「グラスホッパー」の見どころなんといっても特徴ある人物たちの群像劇と伏線回収ですよね。
今回は人物に注目して感想を書き連ねていきたいと思います。

鈴木


恋人を失った生田斗真演じる「鈴木」が、事故現場に落ちてきた手がかりがしるしてあった手紙を頼りに、闇の組織である「フロイライン」に潜入します。
あまり生田斗真さんの出ている作品は恋愛ものが多いときめつけて、チャラい演技しかできないんじゃないの?と勝手に思い込んでいましたが、「鈴木」のような平凡でナヨナヨした男を演じることができたんですね。かなり演技力があって、さすがに多くの主演に抜擢されるだけあるなと感じました。

何も知らないままストーリーが進んでいき、翻弄される「鈴木」をうまく表現できていたと思います。
演出なのでしょうか、原作よりさらに観客にストーリーの全体像を把握させないようにしている気がしたのですが、それだけに「鈴木」に感情移入しやすかったと思います。

ラストシーンの演技もとってもうまかったと思います。

比与子


菜々緒さん、すごい!
この一言に尽きます。原作の比与子を完全再現していたと思います。
美人で、粗暴な比与子そのものでした。

とくに寺原の怒りをうけ、イライラしていく様がかなり伝わっていきました。
原作よりかなり存在感が出ていたと思います。


「鯨」もすごかったです。瞳を見つめさせることで相手を自殺させるというなかば超能力に近い能力をうまく映像化していたと思います。
重厚感のある男をしっかり表現していたと思います。浅野忠信さんは声もいいですよね。

それでいて、「鯨」の呪いともいえる、罪の意識からくる幻影の表現もとってもうまかったですね。
やりすぎるとホラーになってしまう幻影を効果的に使っていました。


登場シーンの殺人シーンはびっくりしましたね。
もっとぼかすと思ったらがっつり。わりとこの映画は残虐なシーンが多かったと思います。
「蝉」の殺しに対する美学でしょうか。殺す側と殺される側は対等な存在というメッセージがしっかり伝わってきました。

映画が終わったあと後ろの座席の女性たちが「蝉に殺されたい〜」と言っていましたが、それだけ色気もありましたしね。
「鯨」と「蝉」の対決後のやりとりも素敵だったと思います。

岩西


この映画で一番気に入ったのは岩西です!
もともと好きだったのですが、原作の飄々とした雰囲気をうまく再現できていて、2時間という短い時間ながらも「蝉」に対する愛情も深く感じることができて、この辺りは原作以上だったかなぁ。

「ジャック・クリスピン曰く〜」というセリフも聞けて大満足。
強いて言えば「岩西みいる蝉の声」のくだりは欲しかったですね。

岩西の自殺シーンのセリフもいいですね。
こういうキャラは大好きです。死んだ後の鯨の幻影として出てきた後も非常によい効果を映画に与えていたと思います。

槿


作品内では「槿」という名前は出てこなかったような気がしますが、押し屋です。
これは吉岡秀隆さんがうまいですね。グラスホッパーの説明している時の不気味さはこの人の演技だからこそですね。

まとめ


今回は人物に注目して感想を書いてみましたが、本当にどれもうまく再現できていて原作ファンにはとってもうれしかったです。
それだけに2時間という枠の中でこれだけ魅力的な人物たちをそれぞれ活躍させるのはやはり難しく、薄口な映画というか消化不良に感じました。

群像劇のそれぞれの人物の絡み合いが少なかったかなと。もうちょっと入り乱れたそれぞれの思惑や行動があったらなぁと惜しさを覚えます。
原作を知らない方にとってはちょっとただストーリーを流されたと感じてしまったのではないでしょうか?

しっかり表現されていたのは、「蝉」「鯨」「岩西」のストーリーで、「鈴木」や「フロイライン」たちのストーリーの軸となるところが薄く、そのせいか上辺的なおもしろさしか伝わってこなかった気がします。

ちょっとマイナスな意見が続きましたが、原作ファンがそれぞれの人物の再現度を感じ、ストーリーのビジュアル化を楽しむには100点満点の映画でした。
なかなか原作の心理の部分は映像化するのは難しいですもんね。

なので、これから観に行く方には是非原作を読んでから観に行くことをオススメします。
伊坂幸太郎さんの作品は読んだ後に小さな勇気というか日常の中の希望を感じる作品なので是非読んでみてください。


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