【映画】「マネー・ショート 華麗なる大逆転」を楽しむために必要な2つの経済知識

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「マネー・ショート 華麗なる大逆転」を観てきました。
こういうマネー系の映画はけっこう好きってのもありまして、ちょっと興味はあったのですが、ブラピがプロデューサーを務める会社の製作というのも気になってきて、映画館で観ることを決定。
ブラピも出ますしね。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

事実に基づく物語系でも少し映画としてもおもしろい作風でして、風刺漫画の雰囲気を映画にもってきたような感じがしました。
サブプライム住宅ローン崩壊を予見した者たちの壮大なる空売り(ショート)物語です。
なので、原題では「THE BIG SHORT」となっていました。邦題の「マネー・ショート 華麗なる大逆転」だとちょっと意味が伝わらないかもしれませんね。
とはいえ、邦題のショートは電気のショートとかけているのか、そういう意味合いをもたせてマネーがショートする話なんだなぁと伝われば、いいってことなのかもしれませんね。

華麗なる大逆転という副題は、本当に映画観たんでしょうかね?別に金額的には、莫大な大逆転をしましたが、華麗ではないと思います。作中も主人公たちは逆転したというのに悲壮感を漂わせていたし、それこそブラピが演じている、ベン・リカートも「この逆転が起きるということは、多くの失業者、多くの家を失うものが生まれるんだ。そんな風に喜ぶな。これはそういう逆転なんだ。」と諭すようなセリフがありました。

ちょこっと邦題についてが長くなりましたが、いち早く住宅バブル崩壊の兆しを読み取った投資家たちの、サブプライム住宅ローン危機の中で巨額の利益を上げたのか、というストーリーはちょこっと経済をかじった私にとってはとっても楽しく、ためになる映画でしたね。

し か し・・・

なぜかほぼ満員だったシアターでしたが、隣のおじさんは寝るし、開始数十分で出て行く人がチラホラ、終わったあとも「なんだかよくわからない話だった・・・」という感想が聞こえてきました。
たしかにこの映画、サブプライムローン住宅ローン崩壊の流れを把握した上で、空売り(ショート)というものがなんだかわかっていないと置いていかれます。
劇中もCDSやらCDOやらの金融用語が飛び交います。たしかにこれは知識がないと厳しい・・・多少解説があったにせよ、そこじゃなくて前提がわからないとどうしょうもないっていう感じでしたしね。ただ、劇中で説明された経済用語はかなりわかりやすく説明されていたので、観に行く人はそこにも注目するとおもしろいかも。
そこで、すべてを上げるとキリがないので、映画を理解する上で必要な二つの経済知識を簡単に説明していきたいと思います。
私の説明でわからなくても、検索すればたぶん理解できると思うので、この二つの経済知識をつけて映画を観に行ってみてください。

リーマンショック(サブプライム住宅ローン崩壊)


まずは一つ目、リーマンショックについてです。
この作品は、リーマンショックという言葉は出てこないです(たしか)。
なぜなら、リーマンショック以前の話で、リーマンショックへ金融業界が進んで行く中で、主人公たちが儲けるっていう話だからです。
主人公たちが儲けるために待っていた契機が結果的にリーマンショックだったわけですね(厳密にはちょっと違いますが・・・)。

ではリーマンショックとはなんでしょうか。
みなさんもリーマンブラザーズやゴールドマンサックスとは名前は聞いたことがあると思います。
これらは、全部証券会社です。つまりリーマンショックというのは証券会社がショックしたってことですね。
ショックっていうのは経営破綻=倒産ってことです。

ではなぜ起きたか、ここでサブプライム住宅ローンっていうワードが出てきます。

アメリカにおける低金利政策


日本も少し前にマイナス金利なんていうワードが話題になりましたね。
例えば、お金を借りるときに、10,000円借りたら、返す時は利息を払わなければいけませんよね。
銀行はこの利息で儲けています。普段なら、毎月1,000円入ることが確定していれば、10,000円を借りて、1年後に1,000円の利息をつけて返すということもどうしても今10,000円欲しければ可能ですよね。

つまり、景気がいいときは、利息も多少高くても、お金を借りやすいんです。
しかし、不況になり、毎月500円しか入らないとなると、いま10,000円欲しくても、1年後に1,000円返せませんよね。それどころか10,000円も返せません。

そうなると銀行も、借りてくれる相手がいなくなり、自分たちの経営が破綻してしまいます。
そこで、3年後に1,000円返してくれればいいよ、という利息にして、貸し出します。そうすれば借りる人も出てきますよね。
つまり銀行は景気が悪い時は低金利でお金を貸し出すようになります。

ここから先は読まなくてもいいのですが、銀行は中央銀行からお金を借りて、個人や企業に貸し出しをするわけです。この中央銀行と銀行間の金利を下げることが低金利政策です。銀行も、中央銀行からお金を借りるときに低金利じゃないと、個人や企業にお金を貸す時に低金利にできないですからね。

アメリカにおける住宅バブル発生


時代は、いま銀行が低金利で、簡単にお金を貸してくれるようになりました。
となると、高額なものを一般の人でもローンを組んで購入しやすくなりますよね。
高額なものといえば住宅ですね。
多くの不動産業や、資産家たちはこぞって低金利で住宅ローンを組んで住宅を建てました。
住宅投資が賑わいます。これがバブルに変わっていくのですが、アメリカでは不動産の価値が上がると、その上がった分を現金化できるキャッシュアウトという手法があります。

こういう証券や経済に疎い方は不思議だと思うのですが、例えば1億円の価値がある家を1億円で購入して、次の年にその価値が2億円になった場合、その家を担保に1億円が借りれます。
では、この1億円はどこに流れるか、また市場に流れます。つまり景気が良くなるわけですね。
そうすると、また住宅の価値が上がり、キャッシュアウトが起き、市場に流れ、景気があがり・・・これが住宅バブルです。基本的にバブルっていうのはこういうことなのです。
泡が発生するように、経済が膨らんでいくということですね。

しかしバブルっていうのは厄介で、崩壊してはじめてバブルとわかるわけです。
日本のバブル崩壊もそうですが、当の時代を生きる人たちはこれがバブルなんて思わず、景気が良くなったと思い、バブルをどんどん増大化させていきます。

サブプライム住宅ローンの発生


ここで重要なサブプライム住宅ローンというのが出てきます。
なんでも、価値のある券にしてしまう、証券会社がこの住宅の景気の良さに目をつけました。

クレジットカードやローンを組んだ人はわかると思いますが、お金を借りたりするときは信用というものをチェックされますよね。あれは「君のこと信用しているよ」みたいな曖昧なものじゃなくて、経済用語で信用というものがあるんです。意味合いはほとんど日本語の信用と変わらないんですが、その個人の返済能力といっていいかもしれません。つまり信用度が高いというのは返済能力が高いということです。
大きなローンを組む時は信用度が高い人にしかローンは組めません。返済能力が低いと、ローンを返済してくれない可能性が出てきますからね。

みなさんもいつも貸したお金返してくれないなぁっていう人にはお金貸さなくなりますよね。
しかし、サブプライム住宅ローンとは、返済能力の低い人たちに住宅を担保として高金利で貸し付けるローンなのです。
つまり、高金利と住宅を担保することでリスクを減らしたローンですね。
返済できなければ、住宅を没収、返済できれば高金利。どちらにしろお得な響きです。

しかし、ちょっと考えれば、おかしいことだってわかりますよね。
ローンを組んで、購入する予定の住宅を担保にローンを組む・・・?
だまし絵のようなローンです。

このサブプライム住宅ローンと住宅バブルがお互いに作用し、増大していきます。
なんだか恐ろしいことが起こりそうですね。

この「なんだか恐ろしいことが起こりそう」ということに気がついたのが主人公たちです。
なんだか恐ろしいことで儲ける仕組みはのちほど説明します。

しかし、なんだか恐ろしいことが起こることは、現実には気がつかない人が多くです。
それは、証券会社がサブプライム住宅ローンと信用度の高い人に貸したローンを混ぜこぜにして平均してそこそこ評価の良い証券にして、世界中にばらまいていたからです。
作中ではそこそこ評価の良い証券どころか、信用格付け会社も良いなりでとびっきりのいい証券に偽装されていました。
これでは、見た目はグッドなので、気がつきませんよね。

住宅バブル崩壊


やはり、バブル崩壊です。
返済能力のない人たちにだまし絵のようなローンを組んでいたのです。返済が滞り、お金を貸す、証券会社は困ります。
証券の価値が紙くずになっていきます。それを防ぐために住宅を没収しますが、バブルの崩壊のスピードのほうが早く、間に合いません。
その結果、証券会社は多くの住宅を抱えてしまいます。
少しでも、現金化するために、安く住宅を売り始めます。
つまり、先ほどの景気のよくなるサイクルと反対のことが起きます。
アメリカ中で、住宅の価格が下がるので、景気が悪くなっていきます。

そうして、バブルは崩壊し、虚像にまで膨れ上がっていた住宅の価値がゼロに等しくなります。
ついには、サブプライム住宅ローンを組んでいた証券会社のリーマンブラザーズが倒産します。

これが「リーマンショック」というわけですね。
2007年にバブルが崩壊しはじめ、2008年にリーマンブラザーズが約6000億ドル(約64兆円)の負債を抱え、史上最大の倒産をしたわけです。
つまりこの約64兆円は、みんなに皺寄せがいくわけで、世界全体の経済がダメになっていきました。

途方もない話ですし、アメリカの話かぁと思いますが、実際に日本にも影響があり、現在に続いていることを考えると他人事じゃないですよね。

空売り(ショート)


最終的に世界経済が沈んでいった・・・みたいな話で締めてしまったのでしが、じゃあ主人公たちはなんで儲けたんだっていう話を説明します。
みんなが損したのに、儲けられるの?っていう疑問が生まれますよね。

それは空売り(ショート)というテクニックというか取引をしたのです。

空売り(からうり、英: short selling)は、投資対象である現物を所有せずに、対象物を( 将来的に)売る契約を結ぶ行為である。
ウィキペディアより


う〜ん、これでピンと来る人はいなさそう。
ということで例え話です。

私があなたから今日発売したばかりのゲームソフトをどうしても、やりたいと交渉し借ります。返すのは1週間後です。

しかし私はたいしてゲームソフトがおもしろくなかった、1週間後まで使わないな、と考えさらにオークションで4,000円で売却してしまいます。
これが空売りです。本当はゲームソフトは自分の所有物じゃないのに、売却してしまいました。

もちろん、あなたにゲームソフトは返さなきゃいけないので、1週間後までにゲームソフトは用意します。たいしておもしろくなかったということで、1週間後にそのゲームが3,000円で売られていたら、それを買ってあなたに返します。
1,000円儲けました。ゲームソフトの価値は下がったのに、儲けました。

もし、ゲームソフトが1週間後、品薄でプレミア価値がついてしまい、5,000円になってしまいました。その時は1,000円損してしまいます。
ゲームソフトの価値が上がったら損しました。

空売りというのはこういうことです。
つまり、価値が下がれば、儲かるってことですね。

彼らはどうやって儲けたか
空売りの説明で、価値が下がれば儲かるということが分かったと思いますが、空売りは転じて、価値が下がったときに利益を得る行為のことも言います。
彼らは、住宅バブルが崩壊したときに、利益をもたらすものとしてCDSに目つけました。
CDSとは簡単に言いますと、ローンの借り手が返済不能になったとき、株や債券が暴落した際の「保険」です。
毎月保険料を払わなければいけませんが、ローンが返済不能になれば、莫大な保険料が入ってきます。

彼らは、大手投資銀行から、CDSを買い漁ったわけですね。
大手投資銀行も好景気はまだ続くと思っていたので、CDSなんて邪魔ですし、売りたいので簡単に買い漁ることができました。

そして、彼らはいつかくるであろうバブル崩壊の日を待ち続けるわけです・・・

まとめ


簡単に、とはいえ長めになりましたが、リーマンショックへの流れと、空売り(ショート)の説明をしました。
わかりにくいところもありますので、あとは検索して知識を補ってみてください。
この二つがわかれば、映画の流れがわかりますし、その上で人間模様や、彼らの苦悩、経済の推移が楽しめます。

そして、バブル崩壊というほとんどの人が損をし、家を失い、職を失うことを契機に彼らは利益を上げるわけですが、そのことについての自戒や葛藤なんかも楽しめると思います。
また、バブル崩壊を食い止めようとする証券会社たちの悪あがきも思うところがあったりと、かなり見所があります。

ストーリーとは関係ないですが、急に劇中の人たちがカメラを通じて、劇場の人たちに話しかけてきたり、急に説明をしはじめたり、ちょっとクセのあるところも映画として楽しめますよ。
なんとなく、カット割りの雰囲気なんかはFIGHT CLUBを彷彿させるような気がしました。
映画を最大限楽しむには、原作を読んでからいくのもいいかもしれませんね。読み物としてもけっこうおもしろいですよ。

そして、やっぱりブラピがかっこいいです。髭もじゃですが、やっぱりあの声がいいですよね。

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