【映画】匂いがしてくる映画?「パフューム ある人殺しの物語」

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ボンジュール ア トゥース、シカコです!
タイトルにあるように映画「パフューム ある人殺しの物語」を観たので、今日はその感想をば。

パフューム ある人殺しの物語


タイトルの通り香水のお話、主人公は驚異の嗅覚を持つジャン・バティスト。
舞台は18世紀のフランス・パリということで、冒頭の挨拶です(笑)

知人に勧められたこともあって手に取ったのですが、06年製作(日本では07年公開)と約十年前の作品。
原作はパトリック・ジュースキントの「香水 ある人殺しの物語」(1985年発表)。



かなりの大ヒット小説らしく、期待度もなかなかに高まるってもんです。


さて内容ですが、最初から最後まで生々しい描写の連続。
香水が持つ華やかな印象を連想させるシーンはほとんどなし!
雰囲気も鬱々として暗い上に思わず眉をひそめ、顔を背けてしまうような場面ばかり。
貴族のお屋敷でキラキラ〜ふわふわ〜トレビア〜ンな映画をイメージしていたので、これにはちょっとびっくり!笑

だからこそ香水店で香水を楽しむ貴族達の華やかさは印象強く、物語の中で香水がいかに特別な存在であるかが浮き彫りになっていました。
でも油断しているとウジ虫やら、動物の死骸がアップで映されて度肝抜かれます…。


演出としては直接的な表現は少なく、間接的な表現が多くみられました。
登場人物達の視線や表情、連続して入る短いカットから今なにが起きているのか、起きたのかを感じ取る。
それと伏線が自然な流れで回収されていたりと、観ていて「わー!あの演出はここに繋がるのか!」と何度か感激(笑)


さて主人公のジャン・バティスト君は、数キロ離れた場所の匂いもわかる千里眼のような嗅覚の持ち主。
今では「コミュ障」と形容されてしまいそうな彼の言動は、狂気的なまでの香りへの追求を上手く表していました。
というか、冗談抜きで怖い!

彼自身によるモノローグは一切なく、また台詞自体も少ないので、ジャン君が一体何を考えているのかさっぱりわからない。
彼が香水作りに没頭する動機が「香りを永遠に保存したい」というもので、まあ分からなくもないのだけれど…。

その動機が生まれるきっかけ、それはある娘との出会い。
街で出会った娘が放つ香りは、ジャン君にとって店に並ぶどの香水よりも魅力的なもので、瞬く間に虜に。
ここでラブロマンスが始まるのか?と思 い き や 。
娘は自分の匂いを嗅ぐ男(ジャン君)に気付いて悲鳴を上げるも、口を押さえつけられ窒息死。
ジャン・バティスト、本編開始20分で殺人を…なんてこったい!

そして娘の服を裂いて、肌や髪の匂いをまんべんなく嗅いでいくジャン君。
ところが娘が死んでしまったせいなのか、さっきまで強く感じていた芳しい香りが失われてしまった様子。
この一連のシーンは嫌な意味でドキドキしました。
静かなBGMとジャン君の呼吸音がとにかく不気味で、迫力と緊迫感がドッと襲ってきます。
ここで彼は台詞などを一言も口にしないのですが、心境が痛いほど伝わってくる演技にすこし感動。


サスペンスじみた演出が素晴らしく、「こういうサイコホラーが観たかった!」と胸を躍らせました。
娘達の死体が次々と丸裸で捨てられている奇怪な事件に怯える街の人々。
それとは対照的に、娘達の体を使って最高の香水を作っていくジャン君。

いつかバレるのでは?大丈夫だった…ああっ、あの娘が魔の手に!今度こそバレるのでは?
と、展開の駆け引きが絶妙で、もう最後はどうなるんだろう!と高揚感に胸が一杯になりました。

が、香水の街 グラースで一番の美人であるローラが死んでしまってからの展開が、もうなんていうか…う〜ん…(笑)


13人目の被害者となったローラ、その後とうとう捕まったジャン君。
そして大衆に囲まれての処刑シーン。
ジャン君もこのまま処刑されてしまうのかと思いきや。

何故か正装した姿で登場したジャン・バティスト。
そして跪き、彼を導く御者。
ジャン君が処刑台に向かって脚を進める度に、民衆は恍惚とした表情を浮かべて茫然。
あまつさえ死刑執行人でさえマスクを外し、「あなたは無実だ!」と跪く。

い、一体なにが起きているんだー?!
思わず笑ってしまいました。

その後民衆に応えるように、ジャン君は香水を染み込ませたハンカチを振り振り。
ハンカチを振る度に狂喜する民衆。
「彼は無実だ!」「天使だ!」「愛してる!」
そしてその場にいた民衆は皆、服を脱ぎ出し、隣の人を抱きしめ、セックスをはじめる………。

な。なにが起きているんだーーーー?!?!?!!?

今までのシリアスがぶっ飛んで、もう笑うしかなかったです。
本当になにがどうして、そうなった…。
いや、それだけ人を狂わせる香水をジャン君が作ってしまったということなんだけども…、あの絵面は笑うしかない。

最後のオチも残りの香水を全部浴びた自分自身を、浮浪者達に食べさせるという…うえっ。
まあ嫌いなオチではないけども、モヤモヤっとわだかまりが…。
ナレーションで、香水の力によってそれは愛による行動だった、と語られるのですが、それでもモヤモヤ。
ジャン君が求めていたものが「愛」だったら納得できるんだけども。


前半が本当に良かっただけに、終盤の集団乱交シーンが浮いてしまってちょっと残念に感じました。
でも役者さん達の演技、特に主人公ジャン・バティスト役のベン・ウィショーと、ジャンに娘を殺されてしまう父親リシ役のアラン・リックマンの演技が素晴らしいです!
なにより今にも匂いがしてきそうな映像演出と、音楽が素敵でした。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏だそうで気品ある荘厳な音色が、不気味さを効果的に演出していました。

とはいえ内容的に見る人を選ぶ作品なので、ご視聴の際はご注意を!


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