【映画】“せかい”と“へや”との隔たりをこえた母と息子の物語「ルーム ROOM」

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

あまり感動系の映画をみることが少ないのですが、TVで主演の二人のインタビューをみて興味が湧いたので視聴してきました。
本当に感動系映画を映画館でみるのははじめてかもしれません。

単にお涙頂戴の感動系じゃなくとってもいい映画で観に行って正解でした。
かなり考えられる映画でもあるので、感動系が苦手な方でもインタレスティングなおもしろさを感じると思います。

ということで監禁された女性と、そこで産まれた息子が外の世界へ脱出し、人生を取り戻していく物語、「ルーム ROOM」の感想です。

ルーム ROOM

あらすじ


アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。
監禁された女性と、そこで生まれ育った息子が、長らく断絶されていた外界へと脱出し、社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。
第88回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、息子とともに生きようとする母を熱演した「ショート・ターム」のブリー・ラーソンが、主演女優賞を初ノミネートで受賞した。
監督は「FRANK フランク」のレニー・アブラハムソン。
7年前から施錠された部屋に監禁されているジョイと、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック。部屋しか知らない息子に外の世界を教えるため、自らの奪われた人生を取り戻すため、ジョイは全てをかけて脱出するが・・・。
映画.comより)


かなりエグい設定ですよね。
もちろん息子は監禁した男の子どもでもあります。
この辺りもしっかり物語の中に組み込んでるのがすごいなと思いました。

ストーリーは脱出までとそれからがちょうど半々くらいの時間で、バランスがとれています。
どちらも短すぎず長すぎず視聴者を飽きさせないなぁと私は感じましたね。

脱出するまでと脱出してから、「へや」「せかい」に分けてまとめていきたいと思います。

へや


まずはじまって素晴らしいと思ったのが、カメラワークが子どもの目線を再現していて「おっ」と感じました。
これは事前の情報でちょこっと知っていたのですが監禁された部屋を子どもの目線から移すことで視聴者にも閉塞感を与えている気がします。
もちろん子どもに感情移入させる手法でもあると思いますが。

ジャックの目線になり、ジャックが家具にハローと言っていきます。

とにかくへやの中の狭さ、閉塞感を感じさせるカメラワークや照明でしたね。
それにともなってブリー・ラーソン演じるジェイ(母)とジョイコブ・トレンブレイ演じるジャック(息子)の演技がかなり自然です。
このような特殊環境にもかかわらずドキュメンタリーを観ているようなリアルさが伝わってきます。
インタビューで二人をみたときのビビット感で観に行ったのが正解でした。

物語のはじまりでは二人は普通の暮らしのようにへやの中で生活する様子が描かれていて、違和感はありつつも、二人が楽しく暮らして居るような描写が続きます。
この自然さも監禁されて7年間という時間がそれを演出しているような気がしてぞくっとしました。

息子のジャックは5歳の誕生日を迎えるのですが、外のせかいに対してはTVと母の話の中でしか知り得ることはできず、さらにこのへやがすべてと思い生きています。
さもへやの中での暮らしが自然のように暮らす二人ですが、夜がきてなぜかジャックがクローゼットの中でジョイに寝かしつけられているシーンで異常さが現れます。
監禁した男がジョイを犯しに部屋にやってきます。
ジャックはクローゼットの中で数を数えて気配を殺します。このシーンはかなりくるものがありました。

しかしジョイも息子の前ではそれに悲壮感を覚えているような仕草は出さずにいるところがすごかったです。
やはり7年間という歳月は人間を麻痺させるのでしょうね。

しかしジョイは息子曰くぬけがらになる日があり、ジョイに怒鳴ることもありました。
ひょんなことから脱出する計画を建てるのですが、脱出する希望が見えた母ジョイは息子ジャックに対して厳しく脱出方法を指導します。
ほとんどジャックに脱出がかかってるので、母ジョイは5歳という年齢を忘れてジャックに重荷を背負わせている様子が伝わってきましたね。
やはり人間は少しでも希望があると、絶望だけの状態より自分を見失いますからね。。。

なんとかジャックは脱出するのですが、このあたりのカメラワークも非常に良かったです。
ジャックがはじめてみる大空に戸惑いながらも美しさを感じている様子は涙が出そうでした。
また母ジョイ以外誰とも話したことないジャックがなんとか通行人にパニックになりながらも助けを求める様子は心の中で応援せざるおえなかったですね。

そして二人は「せかい」を知ります。
母ジョイは戻ったということですが。

せかい


もちろんジャックははじめての外の世界に戸惑います。母以外とのコミュニケーションは母を通じてしかできず、とても内向的。当たり前ですよね。
ジョイはかなり自然に喜んでいます。医者もジャックの心配をしますが、母ジョイの希望で祖母の家に。

祖母は祖父と離婚し、レオという男と暮らしていました。
祖母とレオとともに暮らしていく生活がはじまります。
まだせかいになれないジャックは誰ともコミュニケーションをとれません。
祖母と離婚した祖父は潔癖的なところがあったのでしょう、犯人との息子でもあるジャックに嫌悪感を抱き、ジョイは怒ります。

ここから少し歯車がずれていきます。
ジョイは何気ない時になぜ私があんな目に、と精神的疾患に陥っていきます。
スマートフォンで動画をみる息子をしかり、レゴブロックで遊べと怒ります。
祖母が諌めますが、口論になりジョイは祖母に対し「あなたが優しく生きろといったから誘拐された!」とヒステリーをおこします。
インタビューでもなぜジャックだけでも産まれたときに誘拐犯にいって病院の前に置いてこなかったのか、など心ない質問をされノイローゼになっていきます。

いっぽう息子ジャックはレオの寡黙ながらも優しい性格で他人への心を開いていきます。
私はジャックがそとのせかいへ拒絶を起こす展開を予測していたのですが、まさかの母ジョイが・・・という状況にびっくり。
すっかりミスリードしていました。

そんな中ジョイは精神が壊れ入院してしまいます。
ジャックは母がいなくなった悲しみと怒りを発散させてしまいますが、だんだんと周りの人とコミュニケーションをしていきます。
祖母と買い物にいったり、レオの犬と遊んだり・・・
母にパワーを与えたくて監禁時から髪はパワーだといってきらなかった髪の毛を切って母に贈ります。
祖母がきってくれたのですが、すっきりした髪の毛になったあと「アイラビューグランマ・・・」と祖母にいったシーンはなんだか感動してしまいました。
ジャックはせかいに適応できたんですね。
そのあと近所の子とサッカーを庭でやっているとき母が帰ってきます。
母も正常になっていくのでした。

あとはラストシーンに向けてダイジェストで二人が元気になっていく様子が流れていきます。
ジャックが母や祖母、レオに一発ギャグ?を披露して家族団欒している様子は本当に感動しました。

しかし最後にジャックはジョイに「へやにいきたい・・・一度だけ」と言います。

へやに戻ると中は証拠品として警察に押収されていますので、ベッドやクローゼットがのこるのみ。
ジャックは「縮まった?」と尋ねます。彼が身体も心も成長した証ですね。
そして残った家具に「バーイ」と別れを告げていきます。
母ジョイはへやには入らないものの、最後に口パクで「バイ ザ ルーム」とつぶやきます。

まとめ


終わりもとってもよかったです。ジャックが冒頭でハローと家具に挨拶していたのが、最後は別れを告げてるのがいいですよね。
彼にとってはへやは監禁されている場所ではなく、産まれたときからそれが当たり前、ヒナが卵の中にいるのと同じ状態なんですよね。
だから卵から孵ったヒナが外の世界を知るように、そこに戸惑いはありながらもへやにトラウマはありません。

しかしジョイにとってはトラウマそのもののへやが、せかいに戻ったあともトラウマとして心にストレスを与え続ける・・・
ジョイとジャックではへやに対する意識もせかいに戻る意味も違うんですよね。

だから最後のへやへの別れは、ジャックは育ててくれた感謝もあったと思います。
そしてジョイはトラウマとの決別という意味があったのではないでしょうか。

そんなことをラストシーンから感じました。
とにかく演技とシチュエーションが素晴らしい映画だと思います。
興味があったら映画館で観ておくべき映画だと感じました。


この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

You Might Also Like

*