【映画】邦画のゾンビ映画はつまらないっていう人よ、これを観ろ!期待以上のR15描写「アイアムアヒーロー」

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

本記事は映倫区分R-15+作品に関する内容になります。


どうも、シカコです。
今回は映画三昧休日の第二弾『アイアムアヒーロー』のレビューになります。

アイアムアヒーロー

前半はネタバレなし、後半でネタバレを含む感想とパンフレットについてです!

アイアムアヒーロー(2016年 日本)


監督:佐藤 信介
出演者:大泉 洋(鈴木 英雄)
    有村 架純(早狩 比呂美)
    長澤 まさみ(薮/小田つぐみ) 他
ジャンル:サスペンスホラー

あらすじ


鈴木英雄(大泉洋)35歳。職業:漫画家アシスタント。彼女とは破局寸前。
そんな平凡な毎日が、ある日突然、終わりを告げる・・・。

徹夜仕事を終えアパートに戻った英雄の目に映ったのは、彼女の「異形」の姿。
一瞬にして世界は崩壊し、姿を変えて行く。
謎の感染によって人々が変貌と遂げた生命体『ZQN(ゾキュン)』で街は溢れ、日本中は感染パニックに陥る。
公式サイトSTORYより抜粋)


作品の個人的評価(90点)


・コメディーかと思いきやしっかりサバイバルしてる
・ストーリー展開は王道的
・グロ描写がしっかりとしていて◎
・ゾンビ含めてキャラクター設定が面白い
・男性陣よりも頼もしくイケメンな女性陣がGOOD

ネタバレなし感想


予告編の完成度というか「おっ。これは面白そう」と思わせる作りが素晴らしい。
英雄の自己紹介から静かなBGMで感染パニックの深刻さを描いてからの『ウィリアム・テル序曲』で軽快に展開される混乱地獄絵図!
というかまず、主演が大泉洋の時点でズルくないですか?
彼の時点でなんだか面白そうな雰囲気ぷんぷんですもん。

こんな感じで予告編がきっかけで興味をもったんですが、これって漫画が原作なんですね!
実写化作品であることを鑑賞直前に公式サイトを見て知りました。

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花沢 健吾
小学館 (2009-08-28)
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そしてサイトそのものが見ていて楽しい!
デザインやロード画面に遊び心が仕込まれていて、作り込んでるなあと純粋に関心。
こういったノリを頭に入れて観に行ったので、内容がコメディー路線でなかったことにびっくりしたんですけどね。

原作漫画未読なので比較した感想は言えないのですが、邦画でこのクオリティのゾンビ映画を撮るだなんておっかないなぁ〜!
R15+であることをいいことにグロ描写に戸惑いがない。しかも単調なグロではないから飽きがない。
「取り敢えず頭飛ばして血を噴出させればいいでしょ?」みたいな安易なグロ描写ではない。凄い。
「すごい」ではなくしっかりと漢字で「凄い」、もう凄惨も凄惨。
ゾンビという生と死の狭間でゆらゆらする不気味さがよく表現されていたと思います。

恐怖と狂気が津波のように一瞬で日常生活を蝕んでゆく様子に圧倒。
見慣れた日本の景色が狂っていく波の強さに成す術なく、人々は富士山目指して都会を離れます。
(『追憶の森』を直近で観た身としては「また富士山! 渡辺謙いないかな?」と余計なこと考えてました)

大泉洋の平凡だけど、スゴいことをやってくれそう感が英雄のキャラクターにぴったりハマっていて「おっもしれえなぁ〜っ」と思わず私も呟いてしまいました。
そして薮がエロかっこいい。とくにエロいシーンはない(むしろ男前な)のにエロい。長澤まさみエッロいなぁ〜っ。
やっぱり守られヒロインよりも力一杯に闘う女性が好きです。

生存者集落の一員であるサンゴがほっっっっんとうにクズだけど憎めない、というか愛すべきクズ。
観ていてイライラするしむかっ腹が立つんですけど、良いキャラクターしてるんです。
そしてサンゴ以上に生存者集落リーダーの伊浦が本当に、本当にっ・・・!
ベストオブクズ賞を手にするのは君だ。

予告編のコメディー感を良い意味で裏切ってくるスリルとアクションサバイバル。
でもちょいちょい笑ってしまうんですよね・・・ロレックスとか猫缶とか・・・。
大変な場面なのについクスッとしてしまうコミカルさが少し癖になります。

ラストがね、いいんですよ。普通だけどその普通さがまた良い。







シカコ



以下ネタバレを含む感想になります。





あ、この映画のゾンビは俊敏に動くんだ。


って思ったら違うんかぁ〜い!!!!

いや、映画でもゲームでもとにかくゾンビモノを取り扱う作品って、基本的にゾンビはヨタヨタ歩きで鈍い動きをしていることが多いですよね。
理性を失った影響で予測不可能かつ理解し難い存在であることを強調するために、あんなユラユラ四肢を揺らした動きの演出をしていると思うんですけど。

ただ本作の予告編でもチラッとありましたけど、ゾンビであるZQNの動きがめっちゃ速い。俊敏。
普通に走るし、飛ぶし、跳ねるし、ブリッジするし(ZQN化したてっこの動きが若干トラウマ)。
むしろリミッターが解除されたのかってくらいアクロバティックな動きは、最早人間ではない。
今迄のゾンビ作品のゾンビ概念に警鐘を鳴らすような演出に、私は感動さえ覚えたんですよ。
「あ、この映画のゾンビは例えモブでも皆俊敏に動くんだ、すげえ!」って。

ところがどっこい! アウトレットモールのゾンビは皆動きがノロい典型的なゾンビ。
まじかよ〜〜〜〜富士山登ってきてゾンビも疲れてるのかあ〜〜〜????

ZQNそれぞれに個性があるっていう設定は面白かったです。
通勤電車に乗ってるサラリーマンとかコーヒーショップの店員とか。
服屋で着替えた英雄が満足気に鏡を見たその後ろに、男性店員がいたシーンは笑いました。

私がZQN化したらPCの前にずっと座ってるか、布団で寝てるんだろうな。

ヒーローからただの英雄になる成長ストーリー


彼女と破局寸前・いまだ漫画家アシスタントの英雄と、かたや同時期に新人コミック賞を受賞した同期は売れっ子漫画家。
漫画家への道を突き進むことも諦めることもできず、ただ時間を浪費する英雄。
そんな彼の姿に苛立つ彼女のてっこちゃん(片瀬 那奈)の表情がリアルで怖い。
「英雄(えいゆう)と書いて英雄(ひでお)です」と自己紹介する姿は最早虚栄で、「次は大丈夫だから」と彼女に縋る英雄の姿は見ていて痛ましいです。
名前が「英雄(えいゆう)」であることしかアイデンティティを確立できていないとさえ思えます。
猟銃を売ってこいと部屋を追い出したてっこちゃんに「銃の所持許可証がないと逮捕されちゃうんだよ・・・」と訴えかける英雄が、色んな意味で情けない。

こんなにも情けない英雄が日本の危機をきっかけに奮闘して活躍する・・・というわけでもなく、目の前の惨状に怯えながら逃げ惑う始末。
妄想のなかでしか猟銃を構え撃つことしかできない英雄は、命の危機に陥っても変わらないんです。
情けないくらいに臆病な英雄だからこそ、ZQNを前にした時の「怖い、死にたくない。逃げ出したい」という感情によりリアリティが生まれたんだと思います。

ZQNの侵入によって安全地帯が崩落し、比呂美ちゃんと薮がピンチになって助けを求める声を聞いてもすぐに駆け出せない英雄の弱さ。
倉庫内のロッカーに隠れながら、飛び出してZQNに殺される想像を何度も繰り返して恐怖に震える始末。
この想像が本当にコミカルで笑いが起きてしまうんですけど、英雄の苦渋の表情に圧倒されます。
ロッカーの中にある鏡に映る英雄の表情と、鏡の中の自分を見つめる視線の力強さに胸を打たれました。
コミカルな演出なのになぜか切なくなってしまうシーンは初めてですよ・・・。

薮さんの「誰が比呂美ちゃんを守んだよ!」の台詞をきっかけに、ロッカーから妄想ではなく本当に飛び出す英雄は、まさに自分の殻を破って力強く前へ進みます。
この流れが本当に良くて、それまでの妄想のなかで夢を描くだけのただの英雄からの脱却なんです。
勇気を出してロッカーから出たらZQNがいなかったっていうオチも含めて、いいですね(笑)
「なんだよ〜いないのかよ〜!!」って思わず笑ってしまいました。

無難なラストだけどそこが良い


設定としては面白くて魅力的なものが多かったですが、ストーリーの展開としては王道的だなぁと感じました。
アウトレットモールの地下に集まったゾンビをまさか全員倒してしまうとは思っていなかったけど。
予告編でもあった帽子を拾って被りなおすあの立ち姿はまさにヒーロー。逆光なのがまたかっこいい。

ロッカーから飛び出して、比呂美ちゃんと薮さんを守りながら猟銃を撃つ英雄は頼もしかったです。
伊浦の「ママ〜」に対しての「はぁーい(棒読み)」も良い、最高(笑)
あとは「弾の管理がなってない!」は、それまでテンパっていただけの英雄からは想像できない冷静さに「あ、英雄変わったな」と視聴者に思わせるシーンだと思います。

どうしてZQNが発生したのか、その後どうなるのかといったことは分からず終いですが、ラストで薮さんに「ただのヒデオです」と自己紹介するあのシーンはグッときます。
からのタイトルが静かに浮かび上がる演出がジィーンと心に沁みます。

あと薮さんこと小田さんが煙草を吸うのも、それまでの緊張感がふっと抜ける良い演出。
問題が解決したわけではないけどもスッキリと心が軽くなるラストでした。

パンフレットの個人的満足度(90点)


値段:税込720円
サイズ:25cm×25cm(B12裁)
ページ:28ページ(表紙裏表紙含まず)

 INTRODUCTION
 STORY
 CHARACTER
◎INTERVIEW WITH CAST
 CAST PROFILE
◎INTERVIEW WITH DIRECTOR
 STAFF PROFILE
◎INTERVIEW WITH ORIGINAL AUTHOR
◎ABOUT ZQN
◎PRODUCTION NOTES 1〜2
 CAST & STAFF CREDIT

イメージカラー(?)のピンクにタイトルが印字されたシンプルな縦横25センチの正方形サイズ。
中身はカラフルでポップなデザインです。
CHARACTERページには俳優と原作漫画の作画があわせて載っています。

写真も多めですが、文字情報がぎっしり満載で読み応えがあります。
公式サイトには載っていないインタビューや紹介文、マップなどが載っているので買って良かったなぁと思いました。満足です。

久し振りにしっかりと読み応えのあるパンフレットだったので、その分評価も高くなったかも(笑)
28ページ目の佇む英雄の後ろ姿がかっこいいですね。

おわりに


全体の疾走感とラストの「ただのヒデオです」で静かに胸にくる高揚感が良かったです。
あとは久々に良いグロ演出を観られて満足。
韓国チームの協力があったからこそのあの迫力だそうで、見応えも抜群。

パンフレットもサイトもクオリティが高くて久々によい邦画作品を観られて大満足でした〜!

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